お笑い芸人「ぶらっくさむらい」として知られる武内剛(たけうち・ごう)の初監督作品、生き別れの父親を探す旅を記録したセルフ・ドキュメンタリー映画『パドレ・プロジェクト/父の影を追って』が2024年8月31日(土)より新宿K’s Cinemaほかにて全国ロードショーが決定した。
解禁となった予告編は、監督の武内がイタリア人の友人から「パドレは“父親”って意味よ」と教わるシーンから始まる。その後、イタリアのテレビ番組にビデオレターを送るため、武内は慣れないイタリア語で「僕の名前はタケウチゴウ。父親を探しています」とカメラに向かって語りかける。
「父を探す。自分を探す。」と挿入される言葉のとおり、“ハーフ”であることをコンプレックスに感じ、アフリカ人の父の影を遠ざけるように日本で生きてきた武内にとって、この<父親探し>はあらためて自分のルーツに向き合う旅でもある。
旅に出る決意をしたあと、花束を持っておとずれたのは老人ホームにいる母親の面会。今回の旅の目的を告げる武内と、それを穏やかな表情で聞く母の、二人の間に流れる優しい空気が印象的だ。しかし、当然ながらイタリアでの父親探しは思うようには行かない。父をたずねる先々で、「父親を探していることは秘密にしろ」「どうしてここに入った?」と咎められる緊迫の場面もカメラは映し出す。予告編のラストには、捜索が行き詰まった武内が思わず涙する様子も捉え、結末のわからない旅を見守りたくなるような映像となっている。
■『パドレ・プロジェクト/父の影を追って』予告編
また、あわせて公開されたポスターは、胸に映画のタイトルが刻まれたTシャツを着てイタリアへ渡った武内の、これから始まる旅に対する期待と不安の入り混じった表情を切り取ったもの。手にしているのは、「この人を知っていますか?」とイタリア語で書かれた紙と父親の写真。「一度でいいから、会いたい。」と添えられたコピーからは、父の影を追い求める武内の切実な思いが感じられるビジュアルとなっている。
<以下コメント>
◆武内剛監督
“パドレ・プロジェクト”は物心ついた頃から心の片隅にありました。 僕の褐色の肌は、未だ見ぬ父の存在を嫌でも思い出させました。反抗期を迎えると、女手一つで育ててくれた母に背を向け、日本を憎むようになりました。「映画監督を目指していた」「DJ をしていた」――母がボケる前に教えてくれた父の断片的な情報を辿るように、エンタメの世界に飛び込んだ 僕は、ついに結末のわからない旅に出る決意をしました。 誰もが少なからず自分の家族について、悩みや問題を抱えているのではないでしょうか。親子の関係とは何かを捜索している人、心に蓋をしたままの何かを抱えている人、また、画一性を求められる社会の中で生きづらさを感じている人へ、この映画が人生を動かす勇気を与えられることを願っています。
<応援コメント>
◆滝沢秀一/マシンガンズ
主人公のGoは周りの人に深く愛されている。それはきっと「Goが出会う人全てを愛しているからだ」と、映画を見ている途中で気づいた。これは単純な父親探しの映画ではない。1人で生きている全ての人に、みんなと生きる素晴らしさを教えるドキュメンタリーだ。1人で意地を張っている。すべての人に見て欲しい。Goは世界中の人を信じている。
◆枡野浩一/歌人
生年月日も現在の顔もわからない父親を海外で探す困難さ。作品を半分ぐらい見た段階で涙が出て困った。古い知り合いであるはずの武内剛の人柄や歴史を改めて知り、より大好きになる映画だった。私の生き別れの息子(23)が偶然見るくらい、あちこちで公開されて欲しい!
◆矢野デイビッド/ミュージシャン・俳優
ミックスの人にとって、親が別々の人生を歩むことを選ぶ場合、埋められない物理的な距離を経験することが多い。距離が離れていても、親は絶対的な存在として、心に命に遺伝子に刻み込まれている。自分の父がこの世を去った3ヶ月後に、この映画と出会った。父が亡くなる前に、この映画に会いたかった。大人としてではなく、子供として父との最後の時間を過ごしたかった。ハッピーエンドが約束されていない旅に挑んだGoはそれだけで立派だと思う。人生は1度きりなんだから。
8月31日(土)新宿K's cinema ほか全国ロードショー